日本語には「取る」と「摂る」のように、似た意味を持つ異なる漢字が存在しますが、これらは微妙に異なる意味があります。
今回は、これら二つの漢字の違いについてわかりやすく解説します。
また、「食事をとる」といった場合の使い方を示します。
「取る」と「摂る」の基本的な意味
「取る」の意味と使い方
「取る」という漢字は、物理的なアクションを伴う場面で使用されます。
具体的には、何かを手で掴んだり、物を自分のものとして取得する場合に使われます。
例えば、「机の上からペンを取る」や、「棚から本を取る」といった日常的なシーンでよく使われます。
「摂る」の意味と使い方
「摂る」は、特に何かを体内に取り込むという意味で使われます。
主に、食べ物や飲み物、薬などが口から体内に入る行為を指します。
例として、「ビタミンを意識して摂る」や「冬場は特に暖かい飲み物を摂るようにしている」といった場合にこの漢字が使われます。
食事を「とる」場合には
「食事をとる」という表現では、「摂る」が用いられることがあります。
これは、「食べ物を体内に取り込む」という意味合いで使われるからです。
例えば、「毎朝、バランスの良い朝食を摂る」や「健康を考えて、三食しっかりと摂るようにしている」などの使い方があります。
しかし、「摂る」は常用漢字ではないため、文書や公的な書類では使われにいんです。
常用漢字表
前書き
1 この表は,法令,公⽤⽂書,新聞,雑誌,放送など,⼀般の社会⽣活におい
て,現代の国語を書き表す場合の漢字使⽤の⽬安を⽰すものである。引用元: 文化庁 当用漢字表 前書き より抜粋
一方、「取る」は、物を掴むような直接的なアクションを伴う場合に適しており、食事という行為にはあまり適さないともされています。
こんな場合、ひらがなの「とる」を使い、「食事をとる」とするのが、良いのではないでしょうか。
言葉の進化と常用漢字
日本語の漢字使用は、時代と共に変化しています。
言葉はその使用される文脈や社会的な合意によって意味が定まるため、完全に一つの形に固定されることはありません。
「摂る」が現在は常用漢字から外れているものの、将来的には再び常用漢字に追加される可能性もあります。
まとめ
言葉の使い分けには、その言葉が持つ背景や文脈が重要です。
特に「取る」と「摂る」のように似ているようで異なる意味を持つ漢字を使う際には、その違いを理解し適切に使い分けることが求められます。
確実に区別がつかない場合は、漢字を避けてひらがなで「とる」と書くか、「摂取する」という表現を使うと、誤解を避けやすくなります。
これらの点を踏まえて、日常生活やビジネスの場でのコミュニケーションにおいて、正確な日本語の理解と使用が促進されることを願っています。